ミニマム開業ってなに?
普通の開業とミニマム開業と何が違うの?
副業としてのミニマム開業ってどんな感じ?
この記事を読むと、上記の悩みや疑問が解決できます。
開業を考えてるけど、どうしようか悩んでいる医師のみなさん、『ミニマム開業』って聞いたことありますか?
今回の記事では、実際にミニマム開業を実践している先生に話を聞いて、この新しい開業スタイルを紹介します。
通常の開業とは何が違うのか具体的に掘り下げました。
こんにちは。 【ゼロから始める医師生活】というブログやTwitterで医師のポイ活やバイト/転職情報などを発信しているぜろえん(zeroen_doctor) です。
@ちょっと変わった開業スタイル『ミニマム開業』を実践された先生にガッツリ掘り下げてもらいました。
この記事を読めば、ミニマム開業という新しい働き方が見えてきます。
自分に合った開業スタイルを見つけるのに役立ててください。
医師8年目(32歳)のりおです。
脳外科医として急性期病院に勤務しつつ、医師7年目のときにオンライン診療メインのクリニックを開業しました。
休みの日にオンライン診療をしています。
この記事では、ミニマム開業の具体的な手順や費用、実際の働き方などを紹介しました。
開業を検討している医師に新しい可能性を探るための貴重なガイドとなれば幸いです。
オンライン診療がどんなものか気になる方はバイトでやってみましょう。
オンライン診療バイトはこちらの記事で紹介しています。
ミニマム開業と通常の開業の違いは?
ミニマム開業と通常の開業とそれぞれについて簡単に説明します。
通常の開業
通常の開業で必要になるものとしては
・開業エリアの調査
・物件の選定
・検査機器(CT、MRI、血液検査、エコー)の選定
・スタッフの雇用(人数や職種)
・社会保険の準備(労働基準監督署への届け出や社会保険、勤怠管理システムの導入など)
などがあげられます。
もちろん時間と資金はかかります。
一度開業してからやっぱりやめた、といって閉業することも難しいです。
銀行からお金を借りたり、人を雇用したりする責任が出てくるので、これまでの開業というのは、経営者として勤務医からシフトした上で、全力でやっていく必要があります。
ミニマム開業
ミニマム開業とは、あくまで副業として行うような開業の規模を指すことが多い。
例えば自由診療でビタミン剤などを院外処方せんで処方したり、精神科の診察をしたり、高血圧症に薬を処方するだけであれば、検査機器や人を雇用する必要はほとんどありません。
物件も、実家や今住んでいる家の一部の区画を診療所として開業するか、小さなテナントを探します。
開業エリアは本来なら十分なリサーチをした上で、駐車場や物件の選定が必要です。
が、今は対面診療を原則としたオンライン診療もありますから、ミニマム開業さえしてしまえば、全国の患者さんをビデオ通話で診察して処方箋を出すことができます。
私のミニマム開業では、1日に見る患者さんの数もあえて少なく絞っているので、事務や看護師は雇っていません。
受付や処方箋の管理などは昨今のクラウド型電子カルテやレセプトシステムが使い勝手が良いので、医師である自分だけで事務的な処理も行えています。
ただミニマム開業では検査がないため診察と処方箋料くらいで一人あたりの単価は非常に安いです。
副業としてのミニマム開業の具体的な紹介
私はもともと頭痛オンライン診療をメインとするクリニックを作るつもりで開業に動きました。
現在は頭痛、多汗症やにきびなどの皮膚科、高血圧症を保険診療で治療し、トラネキサム酸やビタミン製剤を自由診療として処方しています。
どれも院外処方ですので、1回の診察でもらえる保険収入は、診察料(初診・再診)と、処方箋料と、診療加算(高血圧指導管理料や心身医学療法など)になります。
(もし二次性高血圧症など精査が必要な場合は、近隣の大きな病院に紹介しますし、緊急性の高い疾患だと思われた場合は、紹介状を作成して救急受診の手配をします。しかし幸いなことにまだそのような緊急で対応する状況にはなったことはありません。)
ここではこのクリニックを開業するまでの手順を紹介します。
開業した物件について
開業物件ですが、オンラインを中心にしようと思ったため集客エリアや駐車場などは全く考えず、実家の一部を診療所として開設しました。
保健所にまず診療所の開設を相談し、必要な書類を集めます。
ここで準備が必要だったのが、建築図面および院内の詳細でした。
建築図面を用意しパソコンに取り込み、それをパワーポイントファイルの図形を用いながら、ここにはベッド、ここは診察室、ここは待合、ここはトイレ・・・・といったように、図示します。
診療所の許可がおりたら、自由診療で診察が可能になります。
マンションなどでの診療所開設はだめですが、一戸建てであればきちんと診察室や待合室などを準備できれば大丈夫です。
ただし実際に家具を設置したり、パーテーションを設置したり、といったことは必要です。
建物として診療所が成立するかどうかの評価がなされます。
保健所の指示に従って必要に応じて図面に詳細を書き込むこともありました。
特に建築関係の知識がなくても、保健所の方が丁寧に注意点を教えてくれました。
診療所の開設手続き
診療所を開設すると、保険診療をするための手続きを記載するための書類が国保および社保から届きます。
それらを記載して返信すれば、保険診療の認可がおり、許可の通知書が届きます。
病院開設や保険診療の認可の日付は毎月決まっており、それぞれ1ヶ月ずつ期間はみておきましょう。
私は生保や労災などはみていません。
事前に生保や労災は診ません、3割もしくは10割負担になりますよ、ということを患者に説明し、同意の上で診察をしています。
それらを診るのには手続きが大変だからです。
市町村の受給者証を持っている人は、申し訳ないですが患者さんご自身に領収書を持って後で役所に還付の手続きをしに行ってもらっています。
クラウドカルテを導入
カルテ作成やレセプト請求のためにエムスリーデジカル(レセコン一体型)を導入しました。
クラウドカルテなので、出先のスマホでも、いろいろなパソコンからでもアクセスできることが、オンライン診療と相性がいい。
特にエムスリーのデジスマ診療は、テレビ通話機能もついているため、そのまますぐにビデオ通話が可能ですし、診療情報も自動でカルテと連携されます。
処方箋は、かかりつけの薬局にFAXをして、原本を郵送しています。
FAXはインターネットFAXを契約し、1枚10円程度。
処方箋を印刷、捺印したら、オンライン診療である旨と患者さんの電話番号を記載し、薬局にFAXします。(その後原本を薬局に郵送する)
領収書はpdfファイルで患者にデジスマ診療のチャットで送ります。
エムスリーデジカルで月に5万円弱程度の金額が発生しており、いま開業している中で最もコストがかかっています。
現在はマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認も義務化されましたから、その機械やセットアップに50万円弱かかりました。
その他費用について
他にかかった費用をあげると
・広告をグーグル広告に出す(月数千円)
・HPを作成するのにドメインを取得する(月に数百円)
などがあります。
広告やHPは自分で作成しましたが、外注すればもちろん費用はかかります。
ミニマム開業までのおおよそのロードマップと費用感がつかめました。
まとめると・・・
保健所に診療所の開設申請→国保と社保に保険診療の申請→エムスリーデジカルでカルテとレセコンの契約、オンライン資格確認の導入をしました。
初期費用は50万円程度、ランニングコストが月5万円程度になっています。
ミニマム開業はどのような医師におすすめできるか
検査を必要としない診療をしたい方にはおすすめ
オンライン診療などでスキマ時間に患者さんを診ることができます。
一方で、オンラインは通信接続の手間がかかり、あまり儲からないので、あくまで副業とするのが良いと思います。
ミニマム開業バンザイ!というわけではなく、メリット・デメリットはあるということですね。
休みの日に何時間も拘束されて数万円と、10分程度の労力で1,000-3,000円程度と考えると、私は家族との時間が取れてオンライン診療の副業のほうが良いと考えました。
もし立地が良くて対面での集客の見込みがあるならば、土日だけ開業するクリニックでも良いかもしれませんね。
オンライン診療自体はバイトで経験できるので、どんなものか気になる方は一度バイトをしてみるといいですね。
オンライン診療バイトについてはこちらの記事で紹介しています。
常勤+ミニマム開業でどのようなスケジュールで働いているか具体的に紹介
朝6時起床
↓
朝7時こどもを保育園に送る
↓
朝8時普段の病院での仕事開始
↓
夕方17時保育園迎えに行き帰宅
↓
夕方18時からこどもと夕飯、お風呂など
↓
夜21時からオンライン診察1,2名+事務作業
↓
夜22時就寝
緊急手術などで診察できなくなった場合、リスケジュールを妻が患者に連絡します。
オンラインがメインですし、頭痛などの慢性疾患を診ているため、緊急性がないことが前提になります。
そのことをHPに明記することで、患者さんもわかって予約してくれています。
一人あたりの診察時間は対面診療と変わりません。
通信接続に時間がかかることがありますが、患者さんの出入りや荷物をおいたり雑談をしたり・・・といった時間と変わらないと思います。
診察はまだ1日1,2件に押さえていますが、まとまった時間が取れれば、予約枠を10人、20人と増やしていこうと考えています。
現在は急性期病院に努めており、手術や呼び出しがあるので、あえて増やしていません。
ミニマム開業のメリットとデメリット
オンライン診療をメインにしたミニマム開業をしてみて感じたメリットやデメリットを挙げました。
・肉体的に長時間拘束されずに、スキマ時間に稼げる
・オンライン診療でどこでもいつでも診療可能
・患者さんの話をゆっくり聞けてラポール形成に役立つ
・夜間&オンラインで受診できるので平日日中に忙しい患者に感謝される
・オンラインデバイスが使えないと受診にたどり着けないので、高齢者やインテリジェンスが低い人を診なくて済む
・初期投資が少ないため閉じようと思えばいつでも閉じることができる。
・オンラインの制約がある
(かかりつけ患者が原則、対面診療をどこかで挟む必要がある。初診は7日、再診は30日しか処方できない、麻薬など出せない薬がある)
・注射や検査ができない
・通信などの事務手続きが煩雑
・うまく広告しないと患者の数が増えない。
ミニマム開業にまつわる疑問をQ&A形式で答えます
ミニマム開業ってどうだろうと悩んでいる方に向けて、のりお先生にいくつか質問をQ&A方式にして答えてもらいました。
のりお先生にミニマム開業についての疑問を色々ぶつけました。
私が答えました。
ミニマム開業をしようとなった決め手としては何がありますか?
日中平日に病院に受診できないため、そのような人たちのためにオンライン開業しました。
頭痛で困っている人は特に急性期病院だと頭痛外来を運営することが病院の方針として難しいことがあるため、自分のやりたいようにやるために開業しました。
また経費として青色申告をしたいこと、妻を働かせて保育園を利用できるようにしたいこと、などもありました。
副業としてのミニマム開業ではそこまで儲からないとのことですが、休みの日にバイトするのと比べるとどうですか?
肉体的に拘束される必要がありません。
オンラインで診療が可能なので、家でこどもと遊びながらスキマ時間に診察したり、旅行先でもプライバシーさえ確保できれば診察可能なのは個人的には魅力です。
過去に沖縄に旅行に行って、ビデオ診察と処方をしたことがあります。
ミニマム開業するにあたり参考になる書籍などがあれば教えてください。
特にありません。
一般的な開業の手順が書いてあるインターネットサイトを参考に準備しました。
もしわからないことがあれば、診療所開設に関しては地域の保健所に、保険診療に関しては地域の厚生局に電話などで問い合わせてください。
親切丁寧に教えてくださるので、ぜひ気軽にチャレンジなさってください。
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