専門医試験ってどうなんだろう
精神科専門医取りたい
精神科専門医試験の勉強どうしたらいいの?
精神科試験対策のおすすめの本を教えて!
この記事を読むと、上記の悩みや疑問が解決できます。
専門科の専門医資格は取っておきたいですよね。
ただ忙しい病院勤務の中、勉強しなければならないので効率的な試験対策をしたいところ。
今回は精神科専門医試験に合格する上での勉強方法やおすすめの問題集などを実際に受験・合格されている専門医になりたい先生に詳しく教えてもらいました。
こんにちは。 【ゼロから始める医師生活】というブログやX(旧Twitter)で医師のポイ活やバイト/転職情報などを発信しているぜろえん(zeroen_doctor) です。
@今回の記事では『精神科専門医試験の対策や勉強方法』という点にフォーカスして、精神科専門医試験に合格されている先生にブログ記事を書いていただきました。
記事を読んで効率的な勉強をして専門医試験合格を目指しましょう!
初めまして、医師8年目で昨年精神科専門医を取得した「専門医になりたい」と申します。
日本専門医機構精神科専門医プログラム1期生です。
精神科専門医プログラムを終えてから2年ほど経過した2023年度に精神科専門医試験を受験しました。
「筆記試験の過去問対策(少なくとも3年以上)」、「口頭試問での傾聴、試験管と議論しない」ができれば十分合格圏に到達できます。
最初は過去問をみて、戸惑うかと思いますが諦めずに長丁場を乗り越えられれば必ず乗り越えられます。
ご自身のため、患者さんのために頑張って下さい。
専門医試験対策は暇なバイトのスキマ時間にするのがおすすめ。
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精神科専門医試験について
受験申請期間は毎年3月下旬から4月下旬で症例報告の審査があります。
公式発表は無く、あくまで主観的な意見ですが2、3割が再提出。再提出までの期間は短いので注意が必要です。
8月下旬に筆記試験、11月上旬に選考結果通知&面接日時通知書、12月中旬に口頭試問で約1ヶ月後に合格発表という流れ。
得点率は学会から公式発表はありませんが、約60%がボーダーラインと言われています。
合格率は学会HPに掲載されており、例年7割前後となっています。
精神科専門医試験の勉強方法やスケジュールについて
試験対策をどの時期から始めるのがベストなのかは個々の能力、知識によって変わってくるかと思いますので、これに対する明確な答えはありません。
ただ、忙しい臨床の合間をぬって勉強することを考えると精神的にも早めに取り組んだ方がよいのは間違いありません。
筆記試験と口頭試問とありますのでそれぞれについて説明します。
筆記試験
勉強方法としては過去問などを解く際、一周目に各選択肢の何が間違えているのかを答えられるようにしていくことはもちろんですが、頻出項目をまず抑えておくべき。
専門医試験での頻出項目をあげると
・薬物代謝酵素
・疾患別の疫学
・重度肝腎障害における使用禁忌薬
・妊娠/授乳中において避けるべき薬剤
・薬剤別保険適応疾患
・各種検査所見
・人名問題(誰が何をしたのか)
などです。
あまりおすすめはしませんが、暗記が得意&精神科のベースがそれなりにある方であれば過去問3年分(必要期間:約1ヶ月)でも対応できるかと思います。
筆記試験に関しては過去問3年分を最低限抑えておいた方がいいと思います。
私は念のため過去問全て解きました。
本番では過去問では全く見たことがない問題も出題されましたが、それ以外の問題はなんとなく過去問と類似した問題であったた自信をもって答えることができました。
口頭試問
口頭試問においては個別症例と共通症例、それぞれに対して質問が飛んできます。
個別症例でよく聞かれるもの
→鑑別疾患、家族関係、薬剤選択の理由など
共通症例でよく聞かれるもの
→現症、鑑別疾患、必要な検査、治療方針
特に重要なのが鑑別疾患です。
鑑別疾患には必ず身体疾患を答えるようにして下さい。
ここが抜け落ちてしまうと大幅な減点になってしまうかと思います。
検査で忘れやすいのは脳波かと思います。
脳波を答えた際は、脳波所見も聞かれることがありますが、専門医試験で問われるレベルの脳波所見はそれほど多くないのでしっかりと覚えておきましょう。
口頭試験の具体的な質問内容を紹介
コロナが流行するまでは対面式でしたが、コロナ後はWeb面接が続いています。
(ホテルの一室でテストは行われるのですが、室内は何の変哲もない文字通りの客室で化粧台?にパソコンがポツンと一台置かれていました)
10分(共通症例読み込み)+30分(共通症例ロールプレイ+個別症例)の合計40分間です
ちなみに口頭試問の共通症例の過去問は学会員専用ページに掲載されています。
共通症例の口頭試問
共通症例が書かれた用紙の余白が狭く、症状、状態像、鑑別、検査等を書き出すのに苦労しました。
私の症例はANを疑う内容でした。以下の流れで質問されました。()内はそのとき答えたことや考えたことになります。
読みとれる現症をあげて下さい
(7,8個ほど答えました)
↓
鑑別疾患をあげて下さい
(AN濃厚症例でしたが、症状性、器質性もあげました。甲状腺疾患、下垂体、副腎における腫瘍・機能不全物質医薬品による精神作用物質の摂取などを挙げ、その他にベースとして強迫性パーソナリティー障害の可能性もあると回答)
↓
動悸に関しては何か他に考えられないか?
(この時点では、摂食を障害するなんらかの要因を考えなければならないと、再度なんらかの物質摂取、副腎、うつ病、適応障害も念頭においていかなければならないと思いますと答えました)
↓
物質とはどのようなものですか?
(「下剤や利尿剤」と回答)
↓
再度、動悸や不安を訴えられていますが、何か他に鑑別はありませんか?と別の試験官から質問あり
(下腿浮腫と動悸から心疾患の可能性も検討しなければならないと回答)
↓
入院もしくは外来での治療か?
(BMI15の重度ANであり、病識はなく、無月経であり、心疾患も含めて内科的疾患も含めて治療を要するので入院治療が妥当であると回答)
↓
入院中はどのような治療を行っていますか?
(心不全の可能性もあるため内科と共同して栄養管理をまずは行い、その後CBTや心理検査を必要に応じて適宜行っていく必要性がありますと答えました。薬剤治療はあえて答えませんでした)
その後、ロールプレイングが始まりました。
ロールプレイングに関しては傾聴とできる限り任意入院とするように話を進めていくのがベターと感じていましたので、そのように進めていきました。
個別症例の口頭試問
試験会場への持ち物として事前にプリントアウトした症例報告レポートを持参します。
二つの個別症例に対して質問がありました。
質問は進行役の先生から1題+進行役の先生が他二人の先生に「何かほかに質問はございませんか?」と毎回促され、各症例追加で数題ずつ質問がありました。
質問症例は「せん妄を伴ったアルコール離脱」と「社交不安障害」でした。よく質問されると噂の思春期症例、地域症例は聞かれず。
アルコール症例の質問
「家族に対して疾患の説明はどのように行いましたか?」
「イネイブリングはありましたか?」
「仕事場の人達は本人のアルコール問題をどのように捉えていましたか、どのように接していましたか」
「血液検査データは?」
社交不安障害の質問
「認知行動療法はどのように行ったのか?」
「鑑別疾患として何を考えていたのか?」
圧迫面接という印象はありませんでしたが、笑いも交えながらという感じではなく、淡々とした進行という印象を受けました。
残り5分前に試験の監視をされている試験監督者の声だけが突然流れてきて、残り時間を告げてくれます。
ちょうど予定時間で終了し退室。退室後は試験室前に待機していた誘導係の指示に従って一階の受付まで案内されます。
一階の受付で共通症例が回収されたのち携帯電話が返却されました。
試験対策で使用する問題集、参考書はこちら
↓で紹介している日本精神神経学会の専門医筆記試験問題集は最新年度やここ数年の問題は掲載されていないので、まずは公式の「精神科専門医認定試験の筆記試験問題」日本精神神経学会HPを参照してください。
ただし学会HPでは解答発表はありません。
Noteやブログで解答を作っている方もいるので、参考にしても良いかもしれません。
問題集
・「専門医認定試験問題 解答と解説」 第1集 日本精神神経学会出版
・「専門医認定試験問題 解答と解説」 第2集 日本精神神経学会出版
・「専門医認定試験問題 解答と解説」 第3集 日本精神神経学会出版
上の3冊は精神科専門医を受験するためには必要となる王道の問題集。
直近の「専門医認定試験問題 解答と解説 第3集」はマスト。
各設問毎に詳しく解説が掲載されています。
デメリットですが、第1集と第3集とで同じような事を問われているのに答えが異なることがあります。
これは時代が変化し、治療や精神科治療の考え方が変わったからではなく、ただ単純に間違えていたり、解答作成者の考え方が異なっているため。
解答を読んでいて「あれっ、おかしいな。前とと違うぞ」と感じたら、年度の新しいものを覚えましょう。
参考書(最新版を参照して下さい)
・「現代臨床精神医学」大熊輝雄著 金原出版
・「カプラン 臨床精神医学テキスト」メディカル・サイエンス・インターナショナル
グローバルスタンダードはカプラン臨床精神医学ですが、日本で精神科医療を行っていく場合はまずは大熊先生がまとめられた「現代臨床精神医学」を読み解いていくと幅広い知識を深く掘り下げていけます。
精神科専門医がまず読むべき本と言えるでしょう。
ただ、この本で書いてあることと専門医試験の解答でずれがあったり(特に疫学など)、専門医試験で問われる内容が書いていないこともあるので、あくまで過去問の解説の意味がわらなかったり、苦手分野の知識補充として使ってください。
時間の余裕があれば読破しても構わないですが、専門医試験に合格することのみを考えると、ただわからないところを知らべる、掘り下げる辞書代わり的な立ち位置に留めておくべきかと思います。
・「今日の精神科治療ハンドブック」Vol.36.増刊号2021 星和書店
・「ICD-10精神および行動の障害」 医学書院
・「DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き」医学書院
上記を専門医試験用に使用しましたが
「現代臨床精神医学」
「ICD-10 精神および行動の障害」
「DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き」
上の3冊を手元に持っておけば専門医試験(筆記と面接)においては安心かと思います。
精神科専門医のレポートについて
精神保健指定医のレポートと比較すると楽であるといわれていますし、実際に私もそのように感じました。
口頭試問の対策のために何度か提出したレポートを見直すと誤字脱字を複数個発見しました。一番ひどいのは同一症例において一般名、商品名を混在して書いてしまっていたレポートもありました。それでも再提出はなかったので、あまり細かいところは専門医レポートでは問われないと思います。
ただし、指定医レポートと同様に措置、医療保護入院の症例として要件を満たしているのかはかなり重要視されているようです。
要措置だった症例なのに措置症例として認められず、一発アウトになった方もおられました。
治療内容はガイドラインに即していた方が勿論ベターですが、実臨床において通常よく行われる範囲であれば、治療方針がガイドラインと異なっていても落とされることはなさそうです。ただ、なぜその治療方法にしたのかを聞かれる可能性は十分に考えられます。
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